新人教育 その1
ピザ屋さんは他の業種に比べてバイトの定着率が低く、人の出入りが激しい業界のひとつです。
そのため、頻繁に新人さんが入ってきます。
なので、長く働いていると入ったばかりの新人さんの指導係に任命されることがよくあります。
最初は、ひと通りデリバリーの仕事を教えるために、新人さんの仕事は指導係の後ろをついて走るだけです。先輩のバイクの後ろをついていき、デリバリー用のバイク:通称「ピザバイ」の扱いに慣れてもらいます。
周りから見ると、同じピザ屋のバイクが2台くっついて走っているのは、けっこう奇妙な光景ですが。(笑)
そして、先輩が接客をしているのを新人君には横で見ててもらい、仕事を覚えてもらいます。
このとき多くのお客様は、注文したのはピザ1枚なのに、ピザ屋さんが2人もきて不思議な顔をしています。(笑)
でも、常連のお客様の場合は「デリバリーが2人くる=新人研修」だとわかってらっしゃいますので、「うちよく頼むから覚えといてね~」「がんばってねー」と、新人さんに優しく声をかけてくれる常連さんもいます。
そんな感じで2~3回は自分がやってるところを見せて覚えてもらい、次回から実際に新人さんにやってもらいます。実践です。
でも、いきなり本番はかわいそうなので、自分が指導係のときは、インターホンを押す前に、お客様の家の前でリハーサルをします。(笑)
で、段取りを確認してから、よし行って来い!と。
ちょっと後ろで見守っているわけですが、これがまたおもしろいのです。
日本人のはずなのに、カタコトの日本語で接客したり、
マニュアル棒読みだったり、
「と」や「の」など接続詞がなかったり、
緊張しすぎて、すごく挙動不審になっています。
もちろん自分も新人の頃は、かなりの勢いで挙動不審でしたが。(笑)
これらは結構みんななってしまう現象なんですが、今日の新人さんは珍種でした。
まず、メニューを確認してピザをお客様に渡します。
- 新人さん
- 「デラックストマトピザとイタリアーノビンゴピザとポテトでよろしかったですか?
では、こちら底のほうがたいへん熱いですのでお気をつけ下さい。」
このメニューの確認の時点ですでにテンパっています。
メニューを完全に覚えていないので、うまくスムーズに読めないのです。
もうそこでいっぱいいっぱいになってしまい、まだ代金をもらっていないのに
- 新人さん
- 「ありがとうございました!」
と言って、逃げるかのようにドアを閉めて、遠くで見守っている自分のところへ退散してくるのです。(笑)
「お金!お金!」と、指摘すると、
はっ!Σヽ(゚Д゚; )ノ
と、思い出したかのように慌てて取りに戻っていきました。
その慌てぶりにはお客様も笑っています・・・。(笑)
本人は苦笑いですけど・・・。